ドローンによる空撮は、思っている以上に「現地での準備」に成功の鍵があります。
撮影後に「ブレていて使えなかった」「電波が途切れていた」「風に煽られた」などの失敗を防ぐには、撮影前の段階でチェックすべき項目を明確にしておくことが重要です。
ここでは、現場経験がなくても役立つ、空撮前の準備チェックリスト10項目をわかりやすく解説します。初心者の方はもちろん、これから撮影を仕事にしたい方もぜひ参考にしてください。
1. 撮影エリアの飛行可能性を事前に確認
空撮で最も重要なのは「そもそもその場所が飛ばせる場所か」です。
航空法上のDID(人口集中地区)、空港周辺、高度制限区域などは、事前に国交省への飛行許可申請が必要です。
- 「ドローン情報基盤システム(DIPS)」で事前確認
- 無許可で飛行させると罰則の対象になることも
2. 天候と風速のチェック(特に風速)
風速3m/s以上になると、小型ドローンでは撮影に大きな影響が出ます。
天気予報を見るだけでなく、「風速」と「突風の可能性」まで確認しましょう。
- 特に山間部や海辺は突風に注意
- 撮影当日の朝に「気象庁の予報」または「GPV天気予報」で細かく確認
3. GPSとコンパスのキャリブレーション
ドローンはGPSによって安定飛行を維持していますが、出発地が変わるたびにコンパスキャリブレーションを行うことが推奨されます。
- 高圧電線・鉄塔・マンホールなどの近くでは誤作動の可能性あり
- キャリブレーションは飛行前の定例作業にしておくと安心
4. 機体のバッテリー残量と予備確認
バッテリーの充電不足は墜落の原因にもなります。
撮影時には「今からどのくらい飛ぶのか?」を逆算して、バッテリーの予備が必要です。
- 予備バッテリーは最低1本(可能なら2本)
- 寒冷地ではバッテリーの持ちが短くなる点にも注意
5. スマホ/モニター側の電源と接続確認
多くのドローンはスマートフォンやタブレットを送信機に接続しますが、スマホの充電忘れが多発するポイントです。
- スマホの充電残量が50%未満ならモバイルバッテリー必須
- ケーブルの接続不良が起きないよう予備ケーブルも準備
6. カメラの設定を「撮影前に確認」
いざ飛ばした後に「設定が4Kになっていなかった」「ISOが自動で800になっていた」などのミスを防ぐために、撮影前に必ず設定チェックを行うようにしましょう。
- 解像度(4K / 2.7K)
- フレームレート(30fps / 60fps)
- シャッタースピードとISO
- ホワイトバランス:晴天/曇り など
7. NDフィルターの装着確認(必要な場面)
日中の撮影ではNDフィルターが不可欠です。装着し忘れると、白飛びやカクカクした映像になることも。
- 天候に応じてND8〜ND32程度を装着
- 機体によってはマグネット式で簡単に交換可能
8. 撮影計画・飛行ルートをイメージしておく
行き当たりばったりで飛ばすのではなく、撮影する構図・方向・動きの流れを事前に頭でシミュレーションしておきましょう。
- どこから撮り始めてどの方向へ進むか
- 何カット撮るか
- バッテリー交換のタイミングも想定
9. 緊急時の対応手順を確認
飛行エリアに木々・建物・電線・水辺がある場合、それぞれに応じた緊急対応を頭に入れておきます。
- 「すぐに上昇して回避」「一度着陸」「自動帰還モード使用」など、選択肢を用意しておくと落ち着いて行動できます。
10. 周囲の人・車・建物への配慮
ドローンは第三者への配慮がとても大切です。
**「撮影している側が気づかない圧迫感」**があることを前提に、十分な距離をとり、飛行中も視界に人が入ってこないか常に確認しましょう。
- 通行人の頭上を避ける
- 民家や工場などの敷地内には近づかない
- 音が気になる場所では飛行を中断する判断も大切です
まとめ:準備がすべてを決める
空撮は飛ばしてからが本番ではなく、**飛ばす前に「すでに結果は8割決まっている」**といっても過言ではありません。
初心者こそ「チェックリスト型」の確認手順を身につけておくことで、安心して撮影に集中できます。
この10項目をベースに、あなた自身のオリジナルチェックリストを作ってみてください。
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Q&A
Q1. 初めてドローンで空撮するとき、何を一番先にチェックすべきですか?
A. 最優先で確認すべきなのは「飛行可能なエリアかどうか」です。
たとえ人が少ない場所であっても、航空法上の「人口集中地区(DID)」に指定されていると、飛行許可が必要になります。許可を取らずに飛ばすと、違法行為となり罰金や行政処分の対象になります。
DIPS(ドローン情報基盤システム)やドローンマップアプリを使い、飛行場所の法的条件を必ずチェックしましょう。
Q2. バッテリーは何本必要ですか?1本だけで足りますか?
A. 1本では不十分です。実用的には最低でも2本、できれば3本用意しましょう。
フライト時間は1本あたり20〜30分ほどが目安ですが、移動時間やGPS補足の待機時間も含めると、撮影に使える時間は限られます。また、寒冷地や高所ではバッテリーの減りが早くなるため、予備があることで撮影の自由度が大きく広がります。
Q3. NDフィルターは必須ですか?なくても撮れませんか?
A. 日中の屋外撮影では、NDフィルターはほぼ必須といえます。
NDフィルターがないと、シャッタースピードが必要以上に速くなり、カクついた不自然な映像になることがあります。また、白飛びやコントラストの低下も発生しやすくなります。特に夏場の快晴時はND32〜64を使わないと適正露出を得られない場面が多いです。
Q4. 「構図を考えておく」とはどういう意味ですか?現場で決めるのでは?
A. 構図を「頭の中で描いておく」ことは、時間の限られた現場では極めて重要です。
何を中心に映したいのか、どの角度から撮るのか、どんな動きを加えるのかを前もって考えておけば、迷いなく撮影に集中できます。建物の真上から俯瞰するのか、横から流すのか、斜めにカメラを傾けて奥行きを演出するのか。構図の設計は「絵作りの骨格」です。準備で差がつきます。
Q5. トラブルが起きたときのために、どう準備しておけばいいですか?
A. トラブル時に落ち着いて行動するためには、「想定シナリオ」を複数持っておくことが効果的です。
たとえば、風が強くなった場合の緊急着陸ポイントを決めておく、電波障害が起きたときは高度を上げる or 一時帰還する、障害物の多い場所では手動制御に切り替える、などです。事前に地図を確認し、逃げ道を用意しておくことで、いざというときの行動がブレません。
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